韓国映画『ノリャン 死の海』は、豊臣秀吉による朝鮮侵攻「文禄・慶長の役」を題材にした壮大な歴史大作です。この作品は、キム・ハンミン監督が手掛けた「イ・スンシン」三部作の最後を飾るものであり、韓国国内でも大きな注目を集めています。今回は、その見どころや評価について詳しくご紹介します。
映画『ノリャン 死の海』は、日本の朝鮮半島出兵から7年後、豊臣秀吉の死を機に行われた「露梁（ノリャン）海戦」を描いています。この海戦は、撤退を試みる日本軍とそれを阻止しようとする朝鮮・明連合軍との間で行われた、まさに「文禄・慶長の役」の最終決戦です。
物語の中心となるのは、小西行長率いる日本軍と、それを迎え撃つ朝鮮水軍の英雄イ・スンシン。この対立を軸に、島津義弘が率いる薩摩軍の登場や、緊張感あふれる戦闘シーンが繰り広げられます。歴史ファンには馴染みのあるエピソードも多く、当時の戦術や戦闘の緻密な描写が見どころです。
本作では、イ・スンシン役を『モガディシュ 脱出までの14日間』で知られるキム・ユンソクが演じ、そのほかにもチョン・ジェヨン、ホ・ジュノ、アン・ボヒョンといった実力派俳優たちが共演しています。特にキム・ユンソクのイ・スンシンは、歴史の英雄としての威厳と、人間味あふれる感情表現が見事に融合しており、観客を引き込む力強い演技が光ります。
戦闘シーンでは、実際の戦術や海戦のダイナミズムが丁寧に再現され、視覚的にも圧倒されること間違いなしです。広大な海を舞台に繰り広げられる激戦は、まさに「映画でしか体験できない」壮大さです。
一方で、韓国国内での評価は必ずしも高くありません。その理由の一つとして、複数ある歴史説のうち一つを選んで描きながら、それをあたかも実史であるかのように表現している点が挙げられます。この点は、歴史に対する解釈の違いからくるもので、観る人によって評価が分かれる部分です。
また、前作であった「スーパーオリジナル版」や「字幕版」といった謎の差異がなくなり、今回は「普通の字幕版」のみが提供されています。この点も一部のファンの間で話題になっていますが、実際の内容に影響するものではないでしょう。
