映画『碁盤斬り』は、『孤狼の血』や『凶悪』で知られる白石和彌監督が手がけた、初の時代劇作品です。主演には『ミッドナイトスワン』の草なぎ剛が抜擢され、物語は古典落語の演目「柳田格之進」をベースに展開されます。
物語の中心には、冤罪によって娘と引き裂かれた浪人の柳田格之進がいます。彼は娘と共に江戸の貧乏長屋で暮らし、囲碁に傾倒しながらも、実直な性格で知られます。しかし、かつての冤罪事件の真相を知り、復讐を決意します。娘のお絹もまた、その決意に呼応し、復讐のために身を捧げる覚悟を持ちます。
草なぎ剛が演じる格之進は、清廉潔白な武士の姿を見事に表現しています。彼の演技は迫力に満ち、ストーリーの緩急を魅力的に描き出しています。共演者たちもまた、それぞれの役にピタッとはまっており、物語を引き締めます。
また、映画の美術や演出も見逃せません。京都の職人的な映画人たちが作り込んだ美しいセットや、四季の移ろいを象徴的に表現した演出は、物語の世界観を一層深めています。さらに、囲碁を通じて描かれる人物の生き様や、善悪の対立、そして愛と友情のテーマも、見事に映画に織り込まれています。
『碁盤斬り』は、復讐の炎と娘の献身、そして囲碁という一度置いたら二度と動かせない真剣勝負のゲームを絡めた、感動のヒューマンドラマです。白石監督の繊細な演出と、キャストの見事な演技が融合し、観客を圧倒します。この作品は、劇場の大スクリーンでぜひ味わっていただきたい、美しくも力強い時代劇です。
2024年製作／129分／G／日本
配給：キノフィルムズ
劇場公開日：2024年5月17日
