映画『正義の行方』は、1992年に福岡県飯塚市で発生した未解決事件を取り上げた作品です。この事件では2人の女児が行方不明となり、後に甘木市（現・朝倉市）の山中で他殺体として発見されました。犯人とされた久間三千年（くま・みちとし）の死刑執行後も、事件の真相を巡る謎は残り、再審請求や冤罪の疑いが浮上しました。
NHK BS1スペシャルとして放送されたこの作品は、監督の木寺一孝によって手がけられました。木寺監督は、死刑や犯罪を題材にした数々のドキュメンタリーを手がけてきた実績を持ち、日本の司法制度に光を当てる作品を多く制作しています。本作では、事件に関わった様々な立場の人々が、弁護士、警察官、新聞記者など、それぞれの視点から「真実」と「正義」を語ります。これによって、事件の全体像と日本の司法制度の姿が浮き彫りにされます。
観客にとって、この作品は複雑な事件を丹念に解き明かし、考える機会を提供する貴重な作品となっています。報道やジャーナリズムのあり方にも光を当てながら、一つの事件がもたらす影響や背景を描き出しています。観客は、真実と正義の追求に対する複雑な問いに向き合いながら、自らの立場や信念を再考することができます。
『正義の行方: 飯塚事件30年後の迷宮』は、日本の社会や司法制度について考えさせる貴重な作品です。事件の全体像を深く掘り下げ、様々な立場からの証言を通じて、真実と正義の探求の複雑さを描き出しています。是非、この作品を通じて、自らの考えを深めてみてください。
2024年製作／158分／G／日本
配給：東風
劇場公開日：2024年4月27日
